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【セミナーレポート】ITツールをフル活用した業務効率化&ポストコロナ時代に必要とされるニューノーマルな働き方

多職種と連携した24時間365日対応が求められる在宅医療において、在宅チームが疲弊しないように業務効率化を行うことが、持続可能な体制を構築する成功の鍵になります。 本講演では、MCSと訪問診療スケジュール管理ソフトCrossLogの活用事例を通じて、業務効率化を図るポイントと在宅医療における新しい働き方について、楠本内科医院院長 楠本 拓生 先生にご講演いただきました。

概要

講演名:ITツールをフル活用した業務効率化
    &ポストコロナ時代に必要とされるニューノーマルな働き方
日時 :2023年10月26日(木) 19:00–20:00
講演者:楠本 拓生 先生/楠本内科医院 院長

講演内容

1.在宅医療の課題・ITツールの導入
2.MCSの紹介・便利な使い方
3.Crosslogの紹介・便利な使い方
4.お勧めのITツールの紹介
5.業務効率化と新しい在宅医療の形

要約

クリニックの紹介
 クリニックがある福岡県遠賀郡水巻町は人口が2万8000人弱で、高齢化率が33.2%と高齢化が進んでおり、若い人がいてITが進んでいるという地域ではありません。
 外来中心のクリニックから訪問診療にも力を入れるため、2016年に訪問看護と連携した24時間の在宅療養支援診療所に変更、今年(2023年)の7月には在宅緩和ケア充実診療所に認可されました。現在100名を超える方に訪問診療を行っており、年間の新規患者数は70名前後、現在40人から50人の方を看取っています。 患者数の増加とともに在宅関連の調整業務や事務作業が増えてきたこともあり、業務効率化を進めていく必要性がありました。そこで、ITツールを積極的に活用し、在宅関連の課題を解決していこうと取り組んでいます。

様々な在宅関連ITツールの導入
 2016年に紙カルテから電子カルテへ移行しました。パソコンを触ったことのないスタッフもいましたので、まずは「見るだけ」から始め、次は「バイタル情報だけを入力してもらう」といったステップを徐々に踏んでいくことで、今ではどのスタッフも基本的な操作はできるようになっています。
 患者数が増えてくると多職種での連携が必要となり、2019年にMCSの導入を決めました。医師会の在宅総合支援センターのスタッフから教えてもらったことがきっかけで、実際に使ってみると非常に効果的だなと感じ、今も積極的に使っています。2021年にはCrossLogで訪問スケジュールや訪問ルートを管理するなど、複数のITツールを活用しています。

訪問看護ステーションとは全例MCS連携
 訪問診療は全例訪問看護と連携することで、24時間365日対応しています。当院だけでは対応が難しいので、外部の訪問看護と連携し患者さんを支える体制をとっています。連携する訪問看護ステーションとはMCSで情報連携をしており、新規の訪問看護ステーションと連携する時にはMCSの導入ができることを条件としています。初めてでも気軽にMCSを使ってもらえるよう、文字を打つのが大変であれば、手書きの訪問看護記録などノートに書いたものを写真に撮ってアップしてもらうなど、事業所が使っているものを残しながら、なるべく手間がかからないように配慮しています。

ビジネスプランで時間もお金も得をする
 去年からMCSでは、ビジネスプランが開始しました。無料で使えなくなったらいやだと思っていましたが、今のところフリープランでも十分使えます。ただ、私たちのようにヘビーにMCSを使っている方はビジネスプランを活用すると業務効率化につながることが分かったので紹介します。

参考:MCSビジネスプラン

スタッフが疲弊しない在宅医療は実現できる
 少子高齢化と労働人口の減少、慢性的な人手不足、医師看護師事務の負担増加、医師の長時間労働の是正など様々な問題がありますが、それでも地域に必要とされる医療を持続的に提供できる社会の実現と、なによりも医療従事者が働きやすい環境を整えていくことが大切になります。それを実現するために、業務効率化は必須だと考えています。
 MCSなどのITツールを使うことで膨大な情報を得ることができ、それが診療効率を上げ、トラブルを未然に防ぐことにも繋がっていると思います。訪問診療は月1〜2回、短時間で終わりますので、それだけでは患者さんの安心の確保は難しく、訪問看護師さんをはじめとした多くのスタッフの情報をうまく活用して整理できれば、効率的かつ医療者間もお互いが納得できる在宅医療の構築ができるのではないかと思っています。

 業務負担の軽減、スタッフが疲弊しない在宅医療は必ず実現します。明日からでも職場の皆さんと話し合って、まずはできそうなことから進めていただければと思います。

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