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ICT活用によるケアマネ業務の効率化と地域連携促進(愛知・犬山市)後編

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ICT活用によるケアマネ業務の効率化と地域連携促進(愛知・犬山市)前編

▲犬山市介護サービス事業者協議会ケアマネージャー部会で運営委員を務める河野清進氏(左・いつき介護相談センター犬山)村上貴宣氏(右・ケアプランセンターともいき)

看取りや食事指導の事例で有用性を実感

 MCS導入によって良い影響が現れた中で、村上氏が特に有用性を実感したという例を紹介しよう。緊密な連携を必要とする、がん末期患者の自宅での看取りのケースで、クリニック、調剤薬局、ケアプランセンターで患者グループが作られた。患者家族、デイサービス、福祉用具相談員も参加するのが理想的だったが、この時点では三者のみの参加となった。「サービス担当者会議の調整や必要書類の関係各所への送付、情報提供が一度で済むという、実務面でのメリットも感じましたし、医師、看護師、薬剤師からの報告や指示がリアルタイムに文章で確認できるのもありがたかったです。患者さんの症状についての説明や、こういう場合はこうしてほしいという医師の指示が正確に伝わりますから、それに対する質問もしやすかったですね」(村上氏)。看取り前の多職種のやり取りがきちんと残っていることで、ターミナルケアマネジメント加算取得の助けにもなった。

 地域性かもしれないが、村上氏や河野氏の事業所では、自宅での看取りを担当することは稀だという。住宅型有料老人ホームも併設されているが、そこでの看取りも年に数件くらいと少ない。病院や施設で最期を迎える人がほとんどというのが実情だ。とはいえ超高齢社会に直面する我が国の現状を考えると、病院ではなく在宅での医療や見取りは今後増えていくことが予想される。患者や利用者が希望する最期を実現するためにも、連携の一層の充実が望まれる。

▲ターミナルケアとしてMCSを利用した最初の事例になった

 一方、河野氏が挙げたのが、日中独居の透析患者のケース。ケアマネとクリニックの管理栄養士、ヘルパーが患者グループに参加した。「透析患者の場合、きちんとした栄養・水分管理は必須ですが、管理栄養士が買い物の指導をし、実際にこういう料理を作って欲しいという見本の画像もアップしてくださいました。内容や分量がひと目で把握できるので、ヘルパーさんには大きな助けとなりました」(河野氏)。
 他にも患者の体調の変化や訪問時の状況などをすぐに共有できたことで、スムーズな対応に繋げられたり、患者から聞いたデイサービスでの様子を書き込むことで、普段はなかなか共有できないデイサービスでの状況も細かく知ることができ、患者との会話に役立ったという。

▲管理栄養士から買い出しリストがヘルパーに届く
▲管理栄養士から届いたアドバイスの画像例
▲ヘルパーからは訪問時に気づいたことの報告がアップされる
▲日常のちょっとしたことの情報共有も行われた
▲体調の変化なども細かく知ることができた
▲デイサービスでの様子も共有された

 最後に両氏にケアマネとしてのやりがいについて尋ねてみた。
「その人の人生に深く関わり、役に立つことが実感できるケアマネという仕事をずっと続けていきたいと感じています。なかなかできないことではあるのですが、その人を尊重できたという結果があると、よりやりがいを感じますね」(村上氏)。
「利用者さんは年齢的に自分の祖父母の世代の方、ご家族も両親と同じくらいの年齢であることが多いので、そういう方たちが相談してくださっていること自体、本当にありがたいと感じています。まだ経験が浅いので、目の前のことを精一杯やり、困っている方にはすぐ対応することを心がけています」(河野氏)。

 医療介護連携が進むにつれ、患者や患者家族、多職種のメンバーにとって、ケアマネの存在はより重要になっていくだろう。物理的・心理的な仕事の負担を少しでも軽くして余裕を持てるようにすることが、結果的にはケアマネだけでなく、全員の仕事の質や満足度を高めることになる。そのためにも、MCSがケアマネをサポートできる存在になることを願いたい。

取材・文/清水真保、撮影/岩田多佳晋

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