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在宅医療スタートアップ企画(13)インタビュー編 守上佳樹氏 「“医師以外”の自分でチャレンジ」

第3回 これまでの縁が人材を呼んでくれる

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▲メディカルコーディネーターと守上佳樹氏

独自に考案したメディカルコーディネーター(以下MC)制で強力な在宅医療チームを作り上げた守上佳樹氏(よしき往診クリニック院長)へのインタビュー。第3回は人材をどう集め、どう教育しているかを紹介する。

人材集めは飲み会や食事会から

 人材集めにもあまり苦労していないです。一緒に食べたり飲んだりする機会って人生では多いでしょう?食事会や飲み会の開催が苦痛にならないタイプなんです。そういった場で「在宅医療って面白いよ、興味深いことがたくさんあるし、勉強になるよ」と話すと、興味が湧いたって見学に来てくれる。そうするとほぼ100%、一緒にやりたいって言ってくれるんです。誘うのは、面白そうだなと思った人たちで、別に計算して呼んでいるわけではありません。
 それに医師には医師の友達が多いので、会わせたい人がいるとか、この人に会うといいっていう人をどんどん連れて来てくれます。これは僕の持論ですが、いい医師は必ずいい医師を連れてくる。じゃあどうしたらいい医師と繋がれるかというと、自分自身が繋がりたいと思われないとダメということだと思います。
 今、当院には常勤の医師が5人、非常勤が12人います。これから一緒にやりたいという人も3〜4人いるかな。MCと事務系のメンバーも30人を超えていますが、人材派遣サービスなどを利用したことは1度もありません。ずっとご縁に恵まれているのか、人材を探すのに苦労をしたことはないです。また中途採用の方は以前の業種にはこだわりません。見るのはあくまでその人となりです。通信業界で働いていた人もいれば、不動産業界で働いていた人もいます。
 当院の薬剤師は小学校からの知り合いですが、僕の開業を知って「こっちの方が面白そうだから」と言って東京からわざわざ来てくれたんです。彼女が以前に勤めていた職場からも、「人材を引き抜いた」とかいうことではなく、講演に来てほしいと言われる関係になっています。これだけ縁に恵まれているのは、ご先祖様が多分いいことをしたんじゃないかな(笑)。
 異業種から来た人だけでなく、看護師、ヘルパー、ケアマネジャー、介護福祉士、医療事務の経験者もいます。今後は理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士の方もきてくれるといいですね。ただ僕は、資格や技術はサブスペシャリティだと考えています。MCとしては全員が平等。医師が一番偉いとか、看護師は医師の次とか、そういうマウンティングなしに、チームとして仕事ができることがベストだと思います。

教育は現場でのマンツーマン

 スタッフの教育は、いわばマンツーマン。MCは医師と1対1で動きますから、日中の時間帯は医師とずっと一緒なんです。医師が側にいて、あれはこう、これはこうとレクチャーしてくれる。それも毎日。それに医師とMCの組み合わせは流動的なので、いろいろな医師から話が聞ける。医師が替わる時はMCが患者さんの引き継ぎをするので、それも勉強になると思います。病院のトップ看護師でもそういう教育を受ける機会は少ないと思います。やる気があって、本当に仕事をしたいと思っている人にとっては、最強の現場ではないでしょうか。

▲守上佳樹氏の往診バッグの中身

取材・文/清水真保

(第4回に続く)

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