コミュニケーションツールが支える医療介護者の連携

在宅医療スタートアップ企画(9)インタビュー編 小林正宜氏「在宅医療立ち上げの挑戦」

第3回 自分のスタイルを理解してくれる連携先を見つけることが重要

▲小林正宜氏(葛西医院・院長)

現場を数多く見ることで、自分の目指す在宅医療の形が見えてきた小林正宜氏(葛西医院 院長)へのインタビュー。第3回は、同じ志を持つ多職種の連携先をどうやって見つけるかを紹介する。

>> 第1回はこちら

勉強会への参加が連携先を見つける早道

 在宅医療を軌道にのせるためには、いかに信頼できる多職種を見つけるかということが重要です。僕も連携先を探すのには苦労しました。この課題を乗り越える方法は2つあり、1つは多職種が集まる勉強会に参加すること。もう1つは自分で多職種に向けた勉強会を主催することです。後者は少し大変ですが、前者はすぐに始められますよね。勉強会に参加することで、訪問看護師さんや地域包括支援センターの方と繋がりができます。「また別の勉強会があったら呼んでください」とお願いしておけば、医師は歓迎されますので呼んでくれる事が多いです。このように様々な勉強会で出会った訪問看護師さん、ケアマネジャーさんの中で、ここなら良い連携ができそうだ!と思ったところから、繋がっていけばいいんです。
 後者は少し大変ですが、よりお薦めしたい方法です。勉強会を主催することで、自分の目指すスタイルを知ってもらう機会になるからです。僕は患者さんに寄り添った在宅医療を展開したいので、同じような志のある多職種と連携したいと思っています。勉強会を主催する側になれば、勉強会の内容は自分のスタイルに沿ったテーマが設定できますから、より同じ志向の人が集まりやすく、求める連携先も見つけやすくなります。顔の見える関係からスタートできるのもいい点ですね。

連携先とはスピーディな情報共有が必須

 このようなお話をしていますが、実は在宅医療を立ち上げるまでは、多職種との連携がそこまで重要だと理解していませんでした。とある勉強会で出会った訪問看護ステーションの方と意気投合し連携を始めたのですが、その看護師さんがすごく熱心で、どんどん報告を上げてくれたことで、スムーズな連携ができると在宅医療がこんなにやりやすくなるんだということが初めて実感したんですね。MCSも、その方にすすめられて登録しました。報告をこまめに上げてもらうことで、必要な患者さんには早めに介入できると先ほど言いましたが、これはMCSの力が大きいと思っています。いろんなスタッフからの情報がリアルタイムで入って来るので、患者さんの状態がすぐに把握できます。患者さんの数が少ない時にはそこまででは無かったのですが、数が増えてくるとメリットを実感します。訪問前に患者さんの情報が分かり、多職種には医師が知っておいてほしいことを周知でき、チームの意思統一がしっかりできます。誘われて始めたMCSですが、今では新しく連携する施設には、しつこいくらい登録をお願いしています。お互いに仕事がスムーズに進むことや、活用の仕方を説明しながらお願いしています。

日々進歩する医療の情報収集方法

 医師として医療の情報収集は欠かせませんが、論文や医学書籍に加えてFacebookから情報を得ることもありますね。総合診療の分野では情報発信している医師はかなり多くて、議論も活発に交わされています。例えば新型コロナウィルスに関しても、多くの感染症専門医がFacebookを通して様々な情報を発信されたりしています。ただし、SNSから情報を得るときは正しい情報を見分ける目が非常に重要です。もしかすると不正確な情報を鵜呑みにしてしまう可能性もあるため、情報を正しく取捨選択する自信がないときは活用しない方がいいですね。とはいえ、SNSを使えば情報は向こうから入ってくるので、休憩がてらにざっと見て、いい情報だと思ったら詳しく読むようにしています。

(第4回に続く)

取材・文/清水真保

>> メディカルケアステーション(MCS)詳しくはこちら

>> MCS新規登録はこちら

keyboard_arrow_up

非公開型 医療介護連携SNS